花粉症・アレルギー性鼻炎について

アレルギー性鼻炎(通年性)

アレルゲン(アレルギー症状を引き起こす原因となる物質)を吸入することで、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状が出ます。風邪と違って、のどの痛みや熱などはともないません。

アレルギー性鼻炎の症状

アレルギー性鼻炎の症状は、主として鼻と目に現れます。なかでも、くしゃみ・鼻みず・鼻づまりが、その3大症状です。

くしゃみ

くしゃみは外から入ってきた異物を外に排出しようとする防御反射ですが、アレルギー性鼻炎では、連続して起こるのが特徴です。

鼻みず

鼻みずは吸気をろ過、加湿する上で重要な役割を果たしているのですが、アレルギー性鼻炎ではその分泌が異常に亢進し、水様性の鼻みずが、鼻から垂れたり、のどに流れたりします。

鼻づまり

鼻づまりは、鼻粘膜の腫れや血流の悪化によって起こります。

アレルギー性鼻炎の原因と治療

原因は家のホコリやダニの糞・死骸です。ペットのフケやカビも原因となります(血液検査によって抗体を測定することで、何に対するアレルギーかを知ることが出来るケースがあります)。
アレルギー性鼻炎の症状を軽くするには、とにかくダニの糞や死骸、家の埃、ペットのフケ、カビなどアレルギーの元にさらされる状態を出来るだけ避けることです。こうした策を講じた上で、抗アレルギー薬の飲み薬や鼻スプレーで症状を抑えていきます。

風邪にも注意

また、アレルギー性鼻炎がある方とそうでない方が、同じような鼻風邪(急性鼻炎)にかかると、通常、アレルギー性鼻炎がある人のほうが長引きます。急性鼻炎とアレルギー性鼻炎という2つの病気が併存することになるからです。また、急性鼻炎から急性副鼻腔炎になる可能性も高くなります。そのため、風邪をひかないような体調管理が、より大切になってきます。そして、アレルギー性鼻炎のある方が風邪をひいたときには、早めに耳鼻咽喉科を受診したほうがよいでしょう。

花粉症

現在の統計では、今や花粉症の人口は1,000万人以上に上り、もはや"国民病"とも言われています。
原因は食生活や住環境の変化により、アレルギー体質の人が増えていることや、大気汚染(ディーゼルエンジンの排気ガス)など、さまざまな要因が考えられていますが、基本的には戦後植林したスギ林の樹齢が30年を超えて花粉の量が著しく多くなっているのが大きな原因とみられています。
花粉症とは、アレルギー性鼻炎の一種で、特に植物の花粉が原因となって、立て続けのくしゃみや鼻水、鼻づまり、目の痒み、目の充血、涙などの症状を引き起こします。
スギやヒノキの花粉がよく知られていますが、これら以外にもアレルギーを引き起こす植物には、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギほか、たくさんの種類があります。

花粉症の治療法

花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎は、治療を始める前にアレルギーの原因を特定することで、症状を起こりにくくすることが出来ます。
アレルギー検査では、問診や鼻鏡検査を行うとともに、血液検査によってアレルゲン(アレルギー症状を引き起こす原因となる物質)を特定します。その上で治療は、抗原回避(アレルゲンを近づけない環境整備)および薬物療法を中心に進めます。治療法には、主に以下のような方法があります。

内服薬

花粉の飛散が開始する2週間前(症状の出る前)から飲み始めます。症状が出てから薬を飲み始めるのに比べて、症状が軽く済むことが多いというデータがあります。特に鼻汁、くしゃみが強いタイプの人には効果的です。

鼻スプレー

花粉症治療の効果が強く、副作用が少ないため、症状や鼻づまりが強い人には、内服薬に加えて局所スプレーを併用します。

CO2レーザー治療(予約制)

当院では、CO2(炭酸ガス)レーザーを使った手術を行っております。アレルギー反応が起こる場所である鼻粘膜をレーザー照射によって変性させ、花粉やハウスダストなどの抗原が入ってきてもアレルギー反応を起こしにくくする治療法です。
その結果、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状を抑えることが出来ます。
炭酸ガスは水分に吸収される性質があるので、鼻の粘膜の浅い層のみを凝固し、内部組織にはダメージを与えません。また短時間で済むうえ、手術的粘膜切除、薬物による粘膜焼灼に比べて、疼痛・出血がほとんどありません。
季節性アレルギー性鼻炎にも通年性アレルギー性鼻炎にも効果的です。
このCO2レーザー治療は、次のような方にお勧めです。

  • 他の治療では治りにくい難治性の方
  • 重症のため、コントロールに時間を要すると思われる方
  • 多忙なため、十分な通院が出来ない方
  • 妊婦さんなど、薬による治療が制限される方
  • 薬が嫌いな方、内服が面倒な方
  • どの薬を使っても、眠気などの副作用が出る方
スギ花粉症の舌下免疫療法

舌下免疫療法はスギ花粉症を寛解に導く治療法です。
舌の上にスギ花粉を原料とする「シダキュア」という錠剤の
お薬を舌の下(舌の裏)に1分間含み、その後飲み込みます。
最初の1週間は少容量から開始します。2週目以降からは維持量になります。

舌下免疫療法は3年~5年の継続治療を行います。程度の差はありますが全体の70~80%の人に有効です。

舌下免疫療法は、特に下記のような方にお勧めです。

  • 数年以内に妊娠の希望や予定は無いものの、将来的に妊娠した際に薬が使えないのが不安
  • 大学などの受験期がスギ花粉症の時期と重なるので、少しでも症状を改善しておきたい
  • 花粉症の薬がたくさん必要なので、薬を減らしたい
  • まだ若いので、これからも毎年花粉症に悩むことを考えると憂うつになる